アーティスティックな男の子。
「……ちょっと、会話についていけねーんだけど。何、アンタ凄いの。」
『うん。天才だからね、私。』
「…普通自分では言わないでしょ。確かに作曲は超絶的に天才だけど、その他はダメダメなんだから、相殺されてるよね。凄さがゼロ。」
『え?褒められてる?』
「褒めてないし、褒めたつもりもない。」
ピーンポーンパーンポーン
「在校生に告ぎます。最終下校時間が残り15分となっています。校舎から急いで出てください。」
『あ。』
「…とりあえず出よ。」
「ああ。」
『ねね、ハル君と瑞希君って何で知り合いなの?学年違うのに。』
「オレ達総合アーティスト学科は結構混合でやるから。クラスがほぼ一緒なの、悠とは。」
「ああ。」
『ふーん。…ということは、二人とも大学に行ったら美容・ビジュアル学科に行くんだ?』
「まあ、そうなるよね。」
「ああ。」
『ふーん。ま、頑張れ!あ、ラスボスやっと来たか。』
「…ゲームしながらよく話せるよね。オレには無理。」
「器用なんじゃねーの。」
『お褒めに預かり光栄でっす。』
「…ドレスの完成系はまあ早くて一ヶ月ちょいだから、まあ間に合うよね。」
『何の?』
「…いや、音楽学科って6月頭ぐらいに発表会あったよね?」
『…あー…そーいや…。』
「…もしかして忘れてたワケじゃないよね。」
『…もっもちろあっやっべHPが。』
「まあそうだろうとは思ってたけど。」
「…発表会?」
「そ。毎年6月に音楽学科の優秀生徒達が全校に発表会すんの。絶対見に行かなきゃいけないのがめんどくさい。」
『それな。分かりみが深い。』
「へー…。」
プップーッ
車の音がした。
『…あれ、秋だ。』
「秋?」
「誰?」
『私の兄貴。あー、そーいやすっかり忘れてた。あ、送ってくけど。』
「じゃあ遠慮なく。」
「オイオイ…許可取らなくていいのかよ。」
「いいんじゃない?ゆきがいいって言ってんだし。」
『大丈夫大丈夫。秋も多分良いって言ってくれんでしょー。』
コンコンッ
黄色い可愛い感じの外国車の窓を叩く。
「やっと来たか。…お前絶対忘れてただろ。」
『てへぺろ☆』
「キモイ。」
『あ、この二人も一緒に乗せていい?』
「あ?別にいいけど。じゃあゆきは助手席な。」
『りょ。』
「…何か、すいません。」
「別に。つか日常茶飯事だから。」