孤独な神官はど田舎娘に愛を乞う
「そなた、見ない顔だな。」

目の前に立ち止まった男が鈴英に話しかけてきた。


内心お前もな!と思ったが、よくよく考えると、つい先日まで軟禁状態にあった鈴英にとっては宮中の人間ほとんどが見ない顔だ。

(というか、なんて答えるべき?)

そう、相手が誰かわかっていない鈴英は、こういう時、どうすればいいのかさっぱりわからない。


「こちらのお方は、先日宮中に参られました、大神官様のお選びになったかたにございます。」


「あぁ、そなたが薄紫のお方か・・・。」

「・・・・采鈴英にございます。」


(薄紫のお方って何?!っていうかあんた誰?!)


鈴英は、内心叫ぶも、もちろん教えてくれる者はいない。


「面をあげよ。」


恐る恐る顔をあげると、そこには鈴英よりも少し年上らしきそれはそれは顔の綺麗な男が立っていた。


鈴英が今までの人生で会った中で一番綺麗な人は、実は静玉だった。しかし、それがたったいま更新された。相手は男だったが。「そなた、平民らしいな。」

「はい。」

「宮中の生活はどうだ?」

「あー・・・えーっと大変素晴らしいです。」

「今は、何をしていたのだ?」

「えーっと、散歩?です。」

なぜか次々に質問をされ、鈴英はあせる。だって、挨拶の仕方は習っていたが、正体不明の人物との受け答えは習っていなかった。


すると、鈴英の返答がおかしいのか、相手は笑い始めた。何事かと焦る鈴英に相手は追い打ちをかけた。


「そなた、私が誰かわかっていないだろう?」


男は、面白そうに口の端をあげたが、静玉と男の後ろについていた付き人に緊張が走ったのを鈴英は感じ取った。


「あ。。えーっと・・・・はい。」


取り繕っても仕方がないので鈴英は正直に答えた。静玉と男の付き人からの視線が痛い。

そんなことお構いなしに、目の前の男はさらに笑みを深めた。


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