仕事も恋も効率的に?
少し楽になった身体に、もう少し頑張れと言い聞かせて帰庁する。
まだ明りが零れる課内に、自然と手を繋いだまま戻る。

『おかえりー』
『っ!たっただいま戻りました』
『戻りました。北川さん、まだ残ってたんですね』
『心配してたんだよ。本田さん大丈夫?少しは良くなった?』
『はい!ご心配おかけしました』

ぱっと離された手にムッとしてしまうが、また繋ぎ直す。それでも離したそうにもぞもぞと動くみち。

『おおぉ??』
『?』
『佐川くん、もしかしてぇ??』
『そーゆー事です』

ニコニコしながら、大胆に抱き寄せる。

『おめでとー!ちょっと悔しいけど...』
『ありがとうございます。って、なんですか、どーゆー意味ですか』
『え、え、え...え、なにそれ、え??』
『いちばん俺をからかってたのは北川さんだからな。困った人だよ』
『応援してたじゃんか!なんてこと言うんだよ?ねぇ?本田さん』
『なっ、は、い?』
『やっと堂々といちゃつけるので、邪魔しないでくださいね、北川さん』
『はいはい、しませんしません』

普通のやり取りなのか、なんなのか、自分のことを言われてると思うと一気に恥ずかしくなる。

『無事帰ってきたし、帰りますか』
『待っててくださってありがとうございます』
『いーのいーの、本田さんが佐川くんに攫われちゃったんじゃないかと心配してたんだよ~ 笑』
『...公用車でそんなことはしませんよ。失礼な』

公用車で...。公用車じゃなかったらやってたのかよ、と北川は心中笑っていたが、とりあえず戻り確認をしたので帰り支度をする。

コウさんはといえば、私を隣に座らせて乗車記録だけつけている。

『今日はそのまま帰ろう。作業着は、うちで洗っちゃえばいいだろ?』
『なっ、ちょっ、声っ...!!』

平然と同じ場所に帰るとわかってしまう発言に焦る。いくら知っていたとはいえ恥ずかしすぎる。

『佐川くん...大胆だねぇ、今日告って今日お持ち帰りする気?笑』
『連れて帰るに決まってるでしょ?つーか、そもそも、こんなフラフラなのに1人で帰すわけないでしょ』
『お?やっさしぃねぇ 笑』
『そりゃーね、惚れてるわけだし。1人にするわけないでしょう?な?』
『うぅー...』

恥ずかしさで熱が益々上がった気がする...。ダメだ、もうこの展開に頭が追いつかない...。

『よしと、帰るぞ。立てるか?』
『ん、大丈夫です...』

よろよろとしながら、荷物を持つ。
突然荷物ごと、また体が浮く...。

『ひゅー!』
『...ちょっ?!!』
『何だよ?』
『お、降ろして...下さい...』
『やだ。帰るぞ』
『ほんとに、ね、ね、歩けるって...』
『佐川くん、いいとこ見せたくてだから、大人しくしててあげて、本田さん 笑。俺は知ってるから大丈夫だし 笑』
『北川さんまでっ...』
『北川さん、施錠お願いできますか?』
『おっけー。んじゃ、いい週末をー 笑』
『北川さんも。お疲れ様です』
『お、お疲れ様でしたぁ...』

意外と男らしいところを見て、本田さん、週明けへろへろじゃなきゃいーけど、なんて、また笑いながら北川は戸締りをした。
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