仕事も恋も効率的に?
とりあえず、冷蔵庫にあるものを取りだし、並べてみる。

卵...レタス...ラディッシュ...スプラウト...トマト...ブロッコリー...きのこ...ほうれん草...鶏肉...チーズ。

コウさんと私は糖質コントロール派なので、お酒は飲むが食事は気を使う。

さっさとブロッコリーときのこを茹で、プロセスチーズの塊を溶かしながらフォンデュ出来るようにする。
生野菜のサラダも用意しながら、鳥肉を簡単に蒸す。ゆで卵を作りながら、もう少し何かないかと、慣れないキッチンを探す。

糖質が低いパンを冷凍庫から出し、温めていると、ガチャっとドアが開く。

『あがったー』
わしゃわしゃと頭を拭きながら、デニムしか履いてないコウさん。

『おかえ...っ、ちょ、上!なにか着てください!』
恥ずかしくて目を背ける。
『んー?これから毎日見るのにそんな恥ずかしがるなよ~ 』

ニコニコしながら抱きしめられ、濡れた髪が顔に当たる。いつも香る香りは、これか、なんて思う。BVLGARIのちょっと男っぽい香りが目の前のイケメンから放たれている。

『も、またそんなこと言う!ほらー、ちゃんと髪乾かさないとダメですよ?』

頭にかけたタオルで髪を拭いてくれるみちに、幸せを感じる。
『んー、きもちい』

引き締まっている腹筋が目立つデニム姿は、色気が半端じゃない。頭の中が弾けで抱きつきたくなる...。

『風邪ひくといけないから、ちゃんと上着ましょ?ね?』
『わかったよ 笑。ちょっと取ってくるね』
『うん』

意外と早いお風呂に、バタバタと支度をし、テーブルに並べる。
食器のセンスも流石と言う感じ。シンプルだがとてもオシャレで好み。
かく言う私自身も、同じブランドの食器を愛用してるので使い勝手もいい。

飲み物はどうしようかと悩んでいると、よくよく見知ったブランドのTシャツ姿で戻るコウさん。

『飲み物どうします?』
『ん?お前もー平気なんだろ?』
『んん?平気だけど?』
『んじゃ、とりあえずビールにしとくか。飲めるだろ?』
『んじゃー遠慮なく』

出来たモノを並べるのを手伝ってもらう。

『おおっ、チーズフォンデュ!んーむ、いいメニューじゃん』
『お口に合えばいいですけど』
『合わないわけがないけどな 笑。頂くか』
『はーい』
『いただきます』
『召し上がれ』

みちの料理は初めてだったが、うまい。メニューも、好みで堪らない。
冷蔵庫に大したもの入れてなかったことを思い出したのは風呂に入ってからで、デリバリーでもとるか、と悩んでいたところだった。まさか、ここまでできてるとは思わず、驚いたが、何よりキッチンにいる姿がまたなんとも愛しい。

一通り美味しくいただき、食洗機に食器を入れているみち。

『佐川さん』
『んー?』
『このマンションって、お外でタバコ大丈夫?』
『ん?あぁ、外じゃなくてもいいよ。それに、iQOSだろ?』
『うん』
『タバコはやめた方がいいとは思うが、別に部屋で吸っていいよ』
『ありがとうございます』

遠慮なく、と吸いながら答える。

『紙タバコは吸わないのか?』
『紙も吸いますけどね。お酒飲むと紙が良くなります』
『ま、どっちでも部屋の中でいいよ。佐伯くんとか吸っていくし』
『あら、仲いいんですね』
『同期だしね。職場同じ時とかは飲んでたくらいかな~』
『へぇぇ』

カタンと、車のオブジェが着いた灰皿を出してくれる。

『ま、俺もたまーに吸うわけだけどな 笑』

カチッとマルボロに火をつけてテレビを見ているコウさんに見とれる。
何をしていても絵になるとはこの事で...。

『初めて見たぁ...』
『あ?タバコ?』
『うん』
『まー、酒飲むと吸いたくなるアレだ 笑』
『職場の飲み会では飲まないのに』
『それは、ベロベロにさせられたくないからだ 笑』
『ぷっ 笑』
『笑うな 笑。そだ、みちも入ってきな』
『あ、んじゃあ...遠慮なく...』
『ちゃんとあったまれよー』
『はーい』

いざバスルームに来てみると、脱ぎ捨てられた作業着とかパンツとか...色々散らばっていて目のやり場に困る。

『あー、ちょっとまった!』

勢いよくノックされ、了承すると焦った顔で入ってくる。

『悪い...洗濯機に入れるの忘れてた...』
『クスクス...いいですよ、入れておきますよ 笑。洗っておけばいいですか?』
『あー、うん、じゃ頼む。何から何まで悪いな...』
『いーえ、全然 笑。このBOXはクリーニング用?』
『あ、そうそう。明日出さないと』
『んじゃワイシャツはこっちですね。ネクタイは?』
『あーっと、はい、これ』
『よしと。んじゃ、お風呂いただきますね』
『ん、ゆっくり入れ』
『はーい』

リビングに戻り、新しくビールを開けながら、いいなぁ、こんな生活...なんてニヤニヤする俺がいる 笑。
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