君と見つける、恋の思い出


「聞き回ったけど全員わかんねえって、俺を見捨てたんだよ。そしたら、もう残るは蓮しか」



……そこでどうして俺が出てくるのか、一ミリも理解できない。



「悪いが、お前のために使う時間は一秒もない」


「友達が困ってるってのに、見捨てるのか」



だから。



……もういい。


付き合ってられない。



「ちょ、蓮!」



マンションに着き、あいつを置いて中に入った。



俺は自宅でさっき撮った写真を現像する。



すると、五枚出てきただけで、コピー機から紙がなくなったことを知らせる音が鳴った。



……しまった。



買い足すのを忘れていた。



ついでにインクの残りも確認し、なくなりそうな色をスマホのメモ帳に打った。



十分なお金を持って、また家を出る。



一日に、こんな何度も出かけるとは思ってなかった。


これですべて別方向とかなればまだマシだろうが、写真を撮った方向と、今から向かう店の方向は全く同じ。



俺は二往復するってわけだ。



「蓮! やっと俺を……」


「お前、まだいたのか」
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