君と見つける、恋の思い出


東先生は、化学担当。



そしてそれなりのベテランだろう。


理系クラスを持つのもうなずける。



そう思っていたら、予鈴を知らせるチャイムが鳴った。



先生もいるからか、全員席に着いた。



そしてSHR、大掃除、始業式、HRを終え、二年と三年は解散となった。



「蓮、これから遊びに行こうぜ」



だから、俺に構うなよ。


俺は肩に乗っているやつの手を払う。



「これから用事がある」


「前もそう言ってたよな。そんなに忙しいのか?」



お前のタイミングが悪いだけだ。



とは言わず、俺は教室を出る。



そして、昇降口の外に並べられている机の横で、叶花と母さんの到着を待つ。


もう結構な数の新入生が、その机で受付をしている。



「用って、部活勧誘か? でも蓮って部活入ってなかったよな」



後をついてきていたらしく、あいつは俺の横にいた。



……しつこいやつだな。


だが、このままこいつにここにいられても困る。


叶花と鉢合わせになるから。
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