君と見つける、恋の思い出
さて、どう言えばここから離れてくれる。
「和真ー! カラオケ行こうぜ!」
すると、遠くでやつを呼ぶ声がした。
ナイスタイミングだ。
「今行くー! じゃあな、蓮!」
そしてやつは走って帰って行った。
やっと静かに……
「蓮くーん!」
ならなかった。
俺の周りは静かにならないのか。
声がしてきたほうを見ると、叶花が大きく手を振っていた。
隣には母さんがいる。
本当の新入生に混ざっても、全く違和感がない。
あんなに幼く見える年上を、叶花以外に見たことがない。
「蓮くん……じゃなくて、蓮先輩! ふふ、不思議な感じ!」
「はいはい。で、写真。撮るんだろ?」
早く帰りたいがために、適当にあしらった。
「うん! あの桜をバックに撮りたい!」
俺たちは桜の木の前に移動し、立つ。
そして、母さんがデジカメで二、三枚写真を撮った。