君と見つける、恋の思い出
「浅賀くんの同じクラスの、笠原すみれです。えっと、浅賀くんの妹さん?」
俺は思わず吹き出してしまった。
「なんで笑うのさー、蓮くん!」
叶花は俺の腕をグーで殴るが、全く痛くない。
いや……どう考えても笑うだろ。
母さんだって、苦笑している。
誰が見ても幼いってことがわかったんだ。
笑わずにいられるか。
「あれ、え? 違うの!? でも……」
だが、なにも知らない彼女は、動揺している。
「私は櫻木叶花! 蓮くんの妹じゃないよ」
叶花はそう言って、彼女に手を差し出した。
彼女は戸惑いつつも、その手を握り返す。
まあ年上であることは言わないよな。
説明が面倒……とは思ってないんだろう。
同情されるのが嫌なんだと思う。
「叶花ちゃん、そろそろ行かないと」
「はーい。じゃ、二人ともまたね!」
叶花は手を振り、人混みの中に入っていった。