君と見つける、恋の思い出
「母さん、カメラ」
俺はまだカメラを持っていたことを思い出し、母さんを引き止めた。
「あ、忘れてた」
「なあ、叶花、少し浮かれすぎじゃないか?」
周りには聞こえないよう、こっそり聞く。
母さんは笑って、俺の背中を叩いた。
「大丈夫よ。あの子も子供じゃないんだから」
それはそうだが……
あの言動を見ていたら、不安にもなる。
「じゃあ、叶花ちゃん見失っちゃうから。あんたは帰っていいよ」
そして母さんは叶花を追いかけた。
勝手だな。
まあ、許可は得たし、帰るか。
「あの!」
正門に向かおうとしたら、彼女の声に引き止められた。
思ってはいけないとわかっていながら言わせてもらう。
存在を忘れてた。
「なにか?」
「えっと……聞きたいことがありすぎて……」
俺に迫ってきたときと大違いなくらい、煮え切らない態度だ。
「あの、浅賀くんは、写真、よく撮るの?」