冷たい幼なじみが好きなんです
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「笑、優香っち、また明日なー!」
たんたんと放課後になって、竜がわたしたちの隣を通って手を振りながら教室をあとにして行った。
わたしと優香も、竜に手を振り返す。
竜はもう学校から出るのだろうけど、わたしたちはまだここにいるつもりだ。放課後の静かになった教室で、わたしの話を優香に聞いてもらうんだ。
朝、教室に登校すると、わたしの目には教室はなんだか透明に見える。
昼間は黄色。
そして今は………オレンジ色に染まっている。
次々とみんな下校していって…20分後には、わたしと優香のふたりだけになっていた。
わたしと優香は隣の席どうしだから、話を聞いてもらうためにだれかの席を借りなくても、普段の自分の席に座ればよい。
だけど今は、椅子をよせていつもより距離が近くなった。
わたしは今まで、だれかに深い悩みを打ち明けたことがほとんどない。
このあいだ竜に少し遥斗のことを話したけど、竜には「様子見てみれば」と言われただけだし、あれから一週間経っても、遥斗の様子はまったく変化がない。そもそも、登校の時間をお互いそれとなくずらしているから、この一週間、遥斗の姿を見てすらない。
家が隣どうしなのに、こんなにも目にしないのかとびっくりするほどだ。
先ほど悩みを打ち明けたことがほとんどないと言ったけれど、そもそも、今まで生きてきて本気で悩んだことなんてこれといってない気がする。悩むといっても、どっちの色にしようとか、なにを食べようとか、そんな大したことない日常的な選択しかない。
だからどうしていいかわからないんだ。
人は悩みにぶつかったら、どうやって対処をするのか。
その上、この悩みの壁はあまりにも高くでかすぎる。
遥斗とは、今まで喧嘩はもちろんしたことがある。
だけど、数日経ったら自然と元通りになっているパターンしかないのだ。