冷たい幼なじみが好きなんです
「遥斗くん、絶対なにか事情があるんだよ。……笑ちゃん、勇気出して聞いてみたらどうかな……?笑ちゃんのそんな悲しい顔、わたしもう見たくない…」
優香はわたし以上に、わたしのことを心配してくれているんだ。
優香や竜が言うとおり……なにか遥斗自身の事情があるのかな。それとも、わたしが知らないあいだになにかしでかしてしまったのかな。
よくよく考えたら、そうなのかもしれない。
だって遥斗は、いきなりあんなひどいことを言うような人じゃない。
それに……これまでわたしのことを嫌いだと思っていたとしたら、もっとはやく態度に示していたはずだ。ゴールデンウィーク明けに言われるまで、一度だってそんな態度とられたことがない。
そりゃあ、たまに「まったく笑は、」とか「ちゃんとしろよ」とか言われたことはあるけれど……それが冗談か冗談でないかくらいは、顔を見ればすぐにわかる。
遥斗はどちらかというと表情が乏しいほうだけど、いつだってわたしに笑いかけてくれてたもん……。
やっぱり、なにか事情があるんだ。そうに違いない。それなら、はやくその理由を聞かないと。
「帰ってから、さっそく遥斗の家に行ってみる…!」
わたしはギュッと拳を作って、そう宣言した。
優香から勇気をもらったから、燃え尽きてしまう前に、行動しなきゃ。
遥斗と元の関係に戻りたいなら、わたしはわたしで、ちゃんと努力しなきゃ。
遥斗に近づくなと言われたからって言うとおりにしていても、なにも解決しないんだ。
「うん!笑ちゃん、頑張って…!!」
優香はわたしの手をぎゅっと握りしめた。まるでパワーを注入しているみたい。
「優香、相談に乗ってくれて、ありがとう…!優香、大好き」
「全然大丈夫だよ。わたしも、笑ちゃんが大好き!」
本当に可愛くて優しい優香。
優香と心の距離が近くなったみたいで、すごくうれしかった。わたしも優香が困っていたら、全力で力になりたいと思った。
そうだ、甘えてばかりじゃだめだ。
少しでも遥斗に見直されるように、しっかりしなきゃ。
ねえ遥斗。近寄るななんて、言わないで。
わたしのこと、必要としてほしい。