冷たい幼なじみが好きなんです


「俺、なんかジュースついでくるわ~。笑はなにか飲むか?」


ふたり専用の部屋なのだろうか、案内された部屋はわりとせまかった。


竜は机にカラオケの機械とカバンと携帯を置きながら言った。


「りんごジュース!」


「言うとおり思った、笑いっつもりんごジュースだもんな」


「だってお母さんがりんごジュースしか買ってこないんだもん」


「プッなんだそれ」


「いやこれほんと」


竜は笑いながら部屋から出ていった。


竜とわたしのカバンは机の隅によせて、カラオケの機械とマイクを目の前に並べた。


カラオケに来たのはゴールデンウィークぶりだ。

なに歌おうかな~!

機械でランキングなどを見ながらとりあえず竜が来るまでソファに座って待機していると。


机に置かれた竜の携帯から、シャラランッと軽快な音が鳴り響いた。

反射的に機械の画面から携帯に目を向けると、“中野優香”という文字が見えて、優香からメールが届いたようだった。


「ほらよー」


竜が両手にコップを持って帰って来た。片方はわたしのりんごジュースで、もう片方は色的にコーラのようだ。シュワシュワと炭酸がはじける音が聞こえてくる。


「ありがとう!あ、竜、優香からメール届いてるよ?」


「?優香っちから?」


竜は不思議そうな顔をして携帯を手に取りながらわたしの隣に腰かけた。


わたしも不思議だった。優香は弟くんを迎えに行ったはずなのに、竜にメールしてまで言いたいことがなにかあったのかな。


「………っ……優香っちのやつ……」


曲を選んでいると、隣の竜が携帯を操作しながらため息まじりになにやらつぶやいた。


「どうしたの?」


「んー?いーや?なんでも?」


「なにその言い方」


「別にー?さあ、歌うぞ!なんでもいいから入れろ、笑!!」


「はいは~い」


とりあえずランキング上位のなかから曲を選んだ。


よし、歌いまくるぞー!!

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