冷たい幼なじみが好きなんです


「優香の歌声聞けないなんて~!でもしょうがないよね!また来たらいいし!!」


いつでも行けるもんね!!


「ほんといきなり、ごめんねっ!」


そんなに謝るだなんて、優香はほんとに礼儀正しいなあ。


「全然いいって優香っち!」


「じゃあ…わたし行くねっ。笑ちゃんと桂木くんは、ふたりでカラオケ楽しんでね~!!」


さきほどまですごく申し訳なさそうな顔をしていたのに、優香はなぜかとびきりの笑顔に変わってささくさとこの場を去っていった。


そして……竜と、ふたり。

ええとこれは……ふたりでカラオケの流れ?


わたしは竜とふたりでも全然いいんだけど、優香にこの間言われたことが、ふと頭によみがえってきた。



『いっつも笑、笑って…どっからどう見たって笑ちゃんラブだもん』


………。いやいや、そんなことないよね…竜はもうわたしのこと友達として見てるはず…。

だけど…もし優香のいうとおりだったら、竜は今どう思ってるんだろう…。

全然わかんない。竜の心が読めたらいいのに…!


「あのー、ご利用はお二人様でよろしかったでしょうか?」


カウンターの店員さんに尋ねられ、ハッと我に返った。


「せっかくここまで来たし、歌うかー!」


竜がいつもの笑顔でニッと笑うので、わたしはなんだかほっとして笑みがこぼれた。


「うん!歌お!!」


「1時間半でいいか?」


「そうだね!」


ふたりだと1時間は少ないし、かといって2時間は多いしあいだとって1時間半がちょうどいいよね。


店員さんにカラオケの機械とマイクをふたつもらって、わたしたちは部屋へと移動した。

< 67 / 192 >

この作品をシェア

pagetop