イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「ねえ、安藤。木村さんと……なにを話していたの?」
安藤の質問には答えずに、自分が知りたいことだけ尋ねるのはズルいとわかっている。でも安藤と木村さんの会話が気になり、聞かずにはいれらなかったのだ。
ふたりの関係に気を揉みながら顔を上げると、安藤の口角がニヤリと上がったのが見えた。
「なに? もしかして妬いてるの?」
「……」
いつもなら安藤のからかいに対して「まさか」と軽く言い返すことができる。けれど今回は安藤の言葉が図星だったから、なにも言えなくなってしまった。
黙り込んでしまった私にしびれを切らしたのだろうか。安藤の口から大きなため息がこぼれた。
「木村さんに飲みに行こうって誘われてさ。なんだか面倒くさいことになりそうだなって思っていたらタイミングよく柴田が現れたってわけ」
だいぶ、かいつまんでいるようだけれど、安藤の説明でだいたいのことは把握できた。
ふたりが話しているところに今日はたまたま鉢合わせた。でも肉食系の木村さんのことだ。またすぐに安藤を誘うだろう。
強引な木村さんに押し切られて、ふたりがつき合うことになったら?
安藤と木村さんが微笑み合っている姿を想像しただけで、胸が張り裂けそうに痛み出した。
「安藤。木村さんと仲良くしないで……」