イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「あたり前だろ。穂香とどんなに遠く離れても、俺の気持ちは絶対に変わらないから。穂香は?」
「私も朝陽が好きって気持ちは絶対に変わらないよ」
お互いがお互いを思う強い気持ちは、形も残らず、目にも見えない。でも朝陽の言葉は私の記憶に、そして私の言葉は朝陽の記憶に刻み込まれて色褪せることはない。
朝陽と見つめ合うこと数秒。穏やかな笑みを浮かべた朝陽の顔が徐々に近づいてくる。
これは、永遠の愛を誓うくちづけ……。
瞳をゆっくりと閉じて、そのときを静かに待った。けれどふたつの唇が重なり合う前に、ドタドタという大きな物音とともに「おっとっ!」という焦る声や「キャッ!」という悲鳴に近い声が耳に届く。
いったい、なに?
肩を跳ね上げて音が聞こえてきた方へ視線を向けると、通路の角から同期が重なり合って倒れ込んでいるのが見えた。
きっと同期のみんなは、通路の陰に隠れて私と朝陽のやり取りを盗み見していたに違いない。
同期の視線に気づかずに、ふたりの世界にどっぷりハマっていたことが恥ずかしい。
朝陽とのキスがおあずけになってしまったことを少し残念に思いつつも、目の前で繰り広げられたマンガみないなオチに、朝陽と一緒に声をあげて笑った。