イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
私と安藤は同期だということを蓮くんに説明しても、きっと理解できない。私は初めからそう決めつけてしまった。
けれど安藤は私たちの関係を蓮くんにきちんと説明した上で、私のことを『しばた』と呼びつけにしてはいけないと注意した。
蓮くんが理解できる、できないではなく、大人である私たちが熱意を持って蓮くんに接することが大事なんだと、安藤に教えられたような気がした。
自分の未熟さが恥ずかしい。
少し落ち込みつつ肩を落としていると、オーダーした料理が運ばれてきた。お子様セットを見た蓮くんの瞳が、星のようにキラキラと輝いている。
かわいい……。
蓮くんの笑顔を見た瞬間、落ち込んでいた気持ちがスッと軽くなった。
「いただきます」と三人で声を合わせて挨拶すると、安藤は蓮くんのハンバーグを食べやすいように小さくカットし始めた。
安藤って意外とマメなんだ……。
甲斐甲斐しく蓮くんの世話をする安藤の様子を見つめる。すると顔を上げた安藤と視線がパチリと合った。
「あのさ。さっきの話の続きなんだけど」
「さっきの話?」
「苗字のこと」
もう蓮くんは私のことを『しばた』とは呼ばないだろう。一件落着なはずなのに、安藤はまだ話があると言う。