イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

レッサーパンダにカンガルー、カピパラやキリンなどのかわいい動物をのんびりと見て回っていると、あっという間にお昼になった。持ってきたレジャーシートを芝生広場に敷き、今朝作ったお弁当を広げる。

「蓮、このから揚げ食ってみろよ。俺が作ったんだぜ」

安藤はから揚げをフォークで刺して、押しつけるように蓮くんに渡した。

「ほのかちゃんはなにをつくったの?」

「このおにぎりも、その玉子焼きも、から揚げ以外の物は全部私が作ったんだよ」

蓮くんが食べやすいようにと、鶏肉を小さく切ったのも、下味をつけたのも、この私。粉をまぶして鶏肉を揚げただけの安藤に負けていられないと、蓮くんに猛アピールした。

「ほのかちゃん、すごいね」

「ありがとう。蓮くん、おにぎりも食べてね」

「うん!」

蓮くんにおにぎりを渡すと、笑顔で受け取ってくれた。蓮くんの右手には安藤が作ったから揚げが、左手には私が作ったおにぎりが握られている。

蓮くんはいったい、どっちを先に食べる?

固唾を飲んで蓮くんの様子を見守ること数秒。蓮くんは私が握ったおにぎりをパクリと頬張った。

どうやらこの勝負、私の勝ちみたい。

小さくガッツポーズを作ると、すぐさま安藤に視線を向けた。すると安藤はガクリと肩を落とし、悔しそうに下唇を噛みしめている。

< 81 / 210 >

この作品をシェア

pagetop