イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

「穂香も疲れただろ? 早く寝ろよ」

そう言った安藤がベッドから立ち上がった。

もしかして蓮くんと一緒にお風呂に入ってくれたのも、寝かしつけをしてくれたのも、私の負担を減らすため?

ひと言も『疲れた』とは口にしていないのに、私の様子を気にかけてくれる安藤の優しさがうれしい。気がつけば寝室から出て行こうとしている彼のシャツの裾を、咄嗟に掴んでしまっていた。

「ん? どうした?」

足を止めた安藤が、驚きながら振り返る。

自分でもどうして安藤を呼び止めてしまったのかわからない。シャツから急いで手を離したものの、黙ったままでは安藤も納得しないだろう。

「あ、あのね……安藤と同居して蓮くんの面倒を見るなんてあり得ないと思ったけれど、すごく楽しかった。ありがとう」

今の自分の思いを素直に伝えた。

「まだあと一日残っているけど?」

「そうなんだけど……」

この同居も今日が最後のような言い方をしてしまい、バツの悪さを感じてしまった。そんな私を見た安藤がクスッと笑う。

「穂香にはすごく助けられた。俺の方こそサンキュな」

「私、なにもしてないよ」

これは謙遜ではない。そつがない安藤なら、私がいなくてもひとりで蓮くんの面倒を見られたはずだというのが、私の本音。けれど安藤は私の言葉をすぐさま否定した。

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