お嬢様は恋をしません。
それからすぐに、夏休みに入った。



ある日の夜、莉緒の部屋に呼び出された。



自分の感情に気づいた俺に、莉緒が言った。







「奏多、クビ。



明日の昼までにこの家から出て行くこと。



安心して、あなたのお家を取ったりしないから、あそこで生活するといいわ」










…俺は何をしたって言うんだろう。




そこからは早かった。



ことは一瞬で過ぎ去った。



部屋に戻ると、最初に持ってきた荷物とベット、空っぽにされたクローゼット以外は全て無くなっていた。



ものの五分で全部片付けられたみたいだった。



あぁもう。



ここに居場所を求めちゃダメなんだ。




無機質になった部屋にノックの音が響く。




コンコンコン




「奏多、入るぞ」



シュウさんだった。



「大丈夫か?」



「大丈夫に見えますか?」




俺はそう答えると、ベットに小さく座り込んだ。





「まぁ、落ち込むな。



お前は何も悪いことしてねぇよ。



きっと、莉緒は自粛していた感情が溢れ出しそうで不安になっただけだよ」
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