白馬の悪魔さま 【完】番外編追加
「だ、だって、そんな冗談言うから」
それってつまり、同棲だ。
「冗談のつもりはないけど?」
「じゃあどういうつもりですか!?」
「どういうって、前から考えたことを言っただけだろ」
「前からって……そんな話一度も」
「俺の部屋に泊まっても、毎回朝に一度自宅に帰ってから出社するって、どう考えても面倒だし、お互い一人暮らしなら、一緒に暮らした方が効率も良いと俺は思うけど、芙美は違う?」
確かに、そういうことを考えなかったわけではないけれど、でもあまりに突然過ぎて……。
「そんなの、急に聞かれても」
「難しく考える必要ないから」
「難しいですよ」
「ただ俺が、芙美に居て欲しいだけ」
「……え、」
椿王子の大きな手が好き。
その手に触れられることが好き。
「仕事が忙しくて疲れて帰って来た日でも、芙美があの部屋で待っていてくれると思うと、それだけで気持ちが楽になるし、お前と一緒に寝た日は不思議と疲れも取れるんだ。だからそれが毎日当たり前にあればいいのにって、この3ヵ月ずっと考えてたよ」