消える僕の前に、君が現れたら。
「いや、性格でしょ」

後ろからドアのベルの音と共に聞こえてきた声。

振り返ると、澄ちゃん。

遥人の姉の成田架澄(なりた かすみ)ちゃん。大学4年生。

今は割と自由な時期なのに、何故だろう。

「うわあ、なんで来てんの」

遥人が嫌そうな顔をする。

「卒論について、佐藤先生に午後から相談あって」

そう言いながら僕の隣に座った。

「で、何で遥人が彼女いないか?性格しかない。あと顔、あと頭」

まあ、消去法でいくとそれしかない。

遥人180センチくらいだし、僕よりずっとスタイルがいい。

料理だって作れるし、中学高校は陸上やってたらしい。運動はやらせたらなんでも出来るタイプ。

頭は浪人したけど、自分で言うのもあれだかここの大学は偏差値はそこそこ高め。

僕はここはすべり止めなんだけど。

本当はヒロくんがいるし通いやすいから国立の大学病院にしたんだけど、落ちちゃって。

「酷いな」

「顔と頭ははまあ置いといて。チャラいやつは本命に入らないからね。あ、私小倉トースト食べたい。アイスコーヒーも」

「チャラいって…男女付き合いが広いことはいいことじゃない?ね、穂積」

まさかの。火の粉が飛んできた。

「ま、まあ悪いことでは、ないと思う」

「でも、今までで10人は付き合って1年も持たなかったでしょ」

「え。初耳」

遥人は黙って料理を作っていた。

「ほんと奏くんを見習ってよ。真面目で忠実で一途そうな子」

「や、僕そんなんじゃないよ」

澄ちゃんは遥人より前に知り合ってたから、女の人にしては仲良い方。

僕のことを奏くんって下の名前で呼ぶのを許してるのはヒロくんと澄ちゃんだけ。あとは遥人もたまに。


< 12 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop