今夜、夫婦になります~俺様ドクターと極上な政略結婚~
怜士の顔に目を向けて、沙帆はにこりと微笑む。
照れ臭そうに笑った顔に、怜士も笑みを浮かべて応えた。
沙帆の頬にできるえくぼが可愛くて、怜士はつい手を伸ばす。
触れられた沙帆は、ほんの少し目を大きくすると、またその頬にくぼみを作った。
「大々的に式なんて挙げたら、もう本当に引き返せなくなるけど……?」
「えっ……?」
意地悪く口角を上げて、怜士は沙帆を試すように見つめる。
「なんでそんなこと……」
「一応、最終確認?」
この世のどこに、式の前夜にそんなことを聞く新郎がいるだろうか。
沙帆は困ったように瞳を揺らし、力を込めた目で真っ直ぐ怜士を見つめる。
「いりません! そんな最終確認」
笑っていたと思えば、不満気な顔になる沙帆に、怜士はフッと表情を緩める。
両手を広げて、となりに掛ける沙帆を抱き寄せた。