短編集 【善人のフリした悪人】
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「父上、母上。」
16歳になった夜、
桃太郎はお爺さんとお婆さんの前に正座をして、固く決意した眼差しを向けます。
「・・鬼ヶ島へ行って参ります。」
お爺さんとお婆さんは、
“ついにこの時が来た”と顔を見合わせます。
「人間が長年苦しめ続けられてきた歴史に私がケリをつけます。
多くの村人が・・鬼に殺された多くの先人達の無念さを・・私が必ず晴らして参ります。」
お爺さんはその言葉を聞くと、
押し入れの奥から1本の刀を取り出しました。
「桃太郎や。これを持って行きなさい。」
お爺さんが取りだしたのは、
名刀中の名刀“虎徹”。
歳を取り、鬼に刃向かう力を無くしていたお爺さんが大切に取っていたものでした。
若い頃、刀鍛冶をしていたお爺さんにとって、鬼を倒すための切り札を桃太郎は受け取ります。
「桃太郎。鬼ヶ島への道中、
お腹が空いた時の為にきび団子を作るから少し待っていてくださいな。」
お婆さんが台所へと向かいました。