僕に君の愛のカケラをください
葉月は、一瞬期待してしまって、同居に頷きそうになったが、やはり簡単なことではないと思い直した。

「一言で間借りといっても、人間だけの間借りとは違って、蒼真さんにはかなり迷惑をかけることになると思います。夜鳴きもあるかもしれませんし、授乳で物音をさせるかもしれません」

葉月の悩みどころは、同居人となる蒼真が男性であるということではないらしい。

しかし、他人が聞いたら人間の子供を育てていくようにも聞こえて微妙だな,,,。

蒼真を異性として認識していないのは残念だが、言い換えれば信頼されているかもしれないのだ。

これは、葉月を知り仲良くなるチャンスだ。

蒼真は、動物を飼ったことはないし特に好きでもないが、こんな千載一遇のチャンスは二度とない。

靖晃はどうとでもなる。

靖晃はコンビュータープログラミングにおいては天才的だが、所詮はお人好しで単純だ。

蒼真の葉月への微妙な想いをなんとか理解してもらって協力を仰がねば。

「明日の昼までには靖晃を説得して、職場での受け入れ体制を整える。そうだな。明日、俺も一緒にその子犬を迎えに行こう」

善は急げだ。

蒼真は、何だかんだと葉月を納得させ、靖晃やスタッフの理解が得られたら、明日からの蒼真との同居に同意することを了承させたのである。

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