僕に君の愛のカケラをください
午後15時。

葉月は保健所で、子犬達にミルクをやったり寝床を作ったりといった手伝いをして過ごした。

もちろん、保健所の上の人にボランティアとしての許可をもらうことにはなったが。

焦げ茶色のミニチュアダックスフンドの雄は、根気強く葉月が関わったところ、なんとかミルクを飲んでくれた。

葉月は、この犬にジロウ(仮)と名付けた。一番大きい雄が一郎(仮)二番目に大きい雌が姫(仮)とした。

「ここにいる間はそれでいいよ」

と、香川も笑って許してくれた。

これからの5日の間に獣医師の診察が行われ、その後、生後40日までは動物愛護団体で面倒をみてもらって譲渡に出すということだ。

各地区の保健所で保護期間には差があるらしいが、葉月が暮らすこの地区では、職員の配置数を増やすことが困難ということで5日間の保護期間としているらしい。

ただでさえ沢山の迷い犬と保護犬を抱えているにもかかわらず、世話のかかる生まれたての子犬の面倒をずっとみるのは困難だ。

葉月は後ろ髪を引かれながら、眠った子犬達を確認し会社に戻っていった。
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