僕に君の愛のカケラをください
恋敵
その日の午後、蒼真は大亮と一緒にコンサルテーションを請け負っている相手先に出向いた。

「葉月ちゃんていいよなあ。拾った子犬にも優しくて。献身的に世話してさあ」

大亮は、相手先に向かう社用車を運転しながら唐突に呟いた。

「ああ」

蒼真はそっけなく返す。

「実は結構タイプなんだよね。あの子」

「遊びで手を出すなら、やめろ」

「この年で遊びなんてあるか。結婚を視野に入れた相手にしか声はかけないよ」

ここで本当のことを話さなければ、益々ややこしいことになる。

わかっているのに言葉が出ない。

「蒼真、葉月ちゃんと仲がいいだろ?僕に協力してくれないか?」

「,,,」

返事をしない蒼真に

「もしかして、、,蒼真も狙ってるとか?」

と大亮が聞いてきた。

「,,,そうだとしたら?」

「ふうん、まあ決めるのは彼女だよな」

大亮はそれ以上話すことはないと言うように、仕事の話に切り替えた。
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