僕に君の愛のカケラをください
「黙って自宅に戻ってごめんなさい。遅くなるし、蒼真さんもそろそろ疲れてくる頃かなと思って一人にしたんです」

葉月は暖かいジンジャーココアを持ってくると、蒼真に差し出した。

「20時過ぎてたし、大亮さんが車で送ってくれるっていうから、その、甘えちゃったんです」

葉月は蒼真の隣に腰掛け、自分も同じものを飲み始めた。

蒼真は何も話さない。突然押しかけてきたことを気にしているのだろうか?それともキス?

「蒼真さん、夕飯いらないって言ってたし、自分の分だけで良かったから、ほら、トライブスルーに寄ってもらってたんです」

葉月は蒼真にハンバーガーの入った袋を見せた。

「、、冷めたら、、、美味しくないぞ」

「そうですね。お腹空いてるから今から食べます」

葉月は、紙袋からチーズバーガーとベーコンレタスバーガーを取り出した。

「二個も食べるのか?葉月は少食なのに」

「それが、蒼真さんがベーコンとレタス好きだよなーって思ってたらついつい注文しちゃってて」

てへっと笑う葉月に蒼真の胸がキュンと鳴った。

「明日の朝でも食べればいいかなって思ってました」

包みを開くと、葉月が大きな口を開けてチーズバーガーにかぶりつく。

「美味しい!」

もう22時半だ。ずっと働き通しだった葉月のお腹が空いているのも無理はない。

蒼真は更に、自分の行動に腹が立ち落ち込んだ。一晩くらい一人で過ごせばいいのに、葉月とジロウのいる家の暖かさを知ってしまったら、そんなこともできなくなってしまった。

「俺が押しかけてきたから遅くなったな。ごめん」

葉月はハンバーガーをテーブルに置いて首を振る。

「違いますよ。蒼真さん、私、本当は嬉しいんです」

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