僕に君の愛のカケラをください
靖晃と蒼真、葉月は、終業後に、蒼真のマンションに顔を揃えていた。

蒼真は、事の真相を早く知りたいと思っていたが、簡単に流せる話ではないと靖晃から言われ、夕食と入浴を済ませてから話をしようということになった。

ジロウは夕食のミルクがけの離乳食を食べて、布製のハウスにくるまれて眠っている。

「会社に不渡りが出たのか?それともシステムトラブル?」

そうであれば、葉月ではなく、まずは副社長である蒼真に話がくるはずだ。

可能性は低いと踏んでいるが、蒼真はとりあえず、思い付く範疇のことを口にしてみた。

「いや、会社は問題ないよ」

靖晃が淡々と告げる。

「じゃあ、葉月がらみか?」

昼間に見た二人の男性を思い浮かべる。

30代の方は、180cm位あるスマートな男性で、葉月とお似合いと言えないこともない。

「いや、それも違う」

靖晃は一瞬フッと笑ったが、すぐに真顔に戻った。

「蒼真のことだ」

「俺?」

「蒼真のお母さんのことで連絡があった」

蒼真の表情が固まった。

「蒼真、お前、母親に会う気はあるか?」

蒼真の頭の中を無機質な金属音がつんざく音が響いた気がした。

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