総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
掴んていた手を離し、オジサンが、その場に膝をついた。
『あーあ、ザンネン。もっとヤバイのかと思ったのに。へタレだった』
よろめくオジサンを蹴飛ばし
スーツのポケットから財布を抜き取り、身分証明書を取り出す。
『ほらね。会社名も名前も、ビンゴ』
『どうして……私を知っている……』
『別にー。たいして知りたくなんてなかったけど、オジサン常習犯でしょ。嫌でもまわってくるんだよね。ボクたちを舐めないほうがいいよ、“ガキ”だと思って』
『……っ』
『もうビョーキだよね。親子ほど年の離れた女の子を求め続けるなんてさぁ』
“こうなりたい”
“あんなことをしてみたい”
望みを抱くことは、間違いじゃない。
たとえそれがどれだけ歪んでいたとしても。
考えるだけなら自由だ。
オジサンは、抱いた欲求を抑えることができないのだろうか。
なにもかも犠牲になるリスクを背負ってまで
誰かを傷つけてまで
……自分だけが満たされたいのだろうか。
そんなの、許されるわけない。