総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
それにしても――。
落ちている武器は、金属バットやナイフ。
それらは全て相手のものだろう。
そんな物騒なもの振り回すやつらに、身一つで勝っちゃうんだもんな。
やっぱり強いよ、幻は。
「ハーイ、アンケとるね。一番に沈められたい人、手ぇあげてー?」
「助けてくれ……!」
「よっわ。電話口から聞こえた威勢なんだったの」
「俺たちは被害者だ。このチビに女を寝取られた!……こんな仕打ち、間違ってる。愛してる女奪われて黙っていられる方がどうかしてんだろうが!」
――愛?
「あはは。そんなに大切なものなら、見えるところに名前書いててよ。次からおおきく刻んでおいたらー?」
「なあ。お前ら、血が流れてるのか……?」
「流れてるとも。ただボクは幻の血は何色か想像もつかないね。……っていうか、どの子のことか知らないけどさ。みんなボクの前では喜んで鳴いてるんだよ?」
本当はハッキリと覚えてる。
キミたちの大切な女の子は、あっさりオレを選んだ。
簡単に乗り換えたんだ。
愛って、ホントに脆いよねぇ。
「退屈だったんだよ。キミが相手じゃ。だからボクを選んだ、それだけでしょ」
「なんだと……!」
「だいたいさぁ。卑怯なんだって。人質? それで幻のパワー抑えようだなんて、嘘でもやっちゃいけなかったね。いちばん嫌われるやつだから」
「は……?」
「よし決まり。金髪。うるさいキミが最初に沈められるということで」
「なっ……!」
「最期にひとことある? 愛する彼女に遺言残す?」
「……や、やめろ」
「え? なに? 聞こえなーい」