総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)
そこに、黒塗りの高級車が一台やってくる。
「坊っちゃん。お呼びですか」
「こいつらのこと、頼んだ」
「かしこまりました」
愁が呼んだやつらだ。
仮にオレが不良たちを本気で沈めようとしたならば、愁が止めていただろう。
死人を出すような展開、愁が許すわけないから。
「ったく。幻は燐に甘すぎる」
眉間にシワを寄せる、愁。
「カリカリしないの、受験生」
「受験生は関係ねーよ」
「まあまあ。一本吸う?」
「いやそれ幻から奪ったパピコだろうが」
「また幻とボクの仲に嫉妬してたりするのー?」
「だっ……誰が嫉妬するか。お前が余計な恨み買ってるせいで迷惑してんだ。それをもう少し考えた上で行動しろっつーの」
んー、でもオレの持ち込むトラブルってそんなに大きなものでもないし。
オレの存在は、
結局のところチームにとってプラスなわけで。
敵にするより味方につけたほうがいい。
そう考えてるんでしょ、幻?
じゃなきゃ、とっくに切られてるよね。
「返事しろやクソガキ」
「二歳しか変わらないよ」
「二歳“も”だろうが。年上を敬え」
「それは難しいハナシだね。尊敬してないのにどうやって敬うの?」
「テメェ……!」
「そりゃあ二年遅く生まれたよ? でも、女性経験は愁と比べられないくらいあるだろうなぁ」
「…………」
「なんなら紹介してあげようか?」
「よっ……余計なお世話だ」