総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)

「覚悟だあ?」

「その……つまり……キスの先的な感じの」

「そんなもん至って単純な話だろ」

「と、いいますと……?」

「丸裸にされる覚悟さえありゃなんとかなる」


……丸裸に?


「全部、脱ぐんですか」

「まあ……着たままできなくもねえが」

「脱いじゃったほうがやりやすい感じですか?」

「いや、少しくらい布が残ってた方が俺的には……ってなに言わせてんのお前」


言わせたんじゃなくてサトルさんが自分がから言ったんです。


「そんな顔赤くされたらこっちが照れるわ」

「だって……」


あまりにも想像できない世界の話で。

だけど自分にも、ふりかかる話で……。


「この程度で恥ずかしがるなら相談すんなマジで」

「……具体的になにをするんですか?」

「はあ?」

「“抱く”って」

「そこから教えんの?」

「……抱きしめられるだけってわけじゃないんですよね。きっと」

「スミレに聞けよ」

「そんなの、恥ずかしくて聞けません!」

「お前の恥ずかしさの基準全然わかんねえ」

「なんだろう。師匠が、一番相談しやすいです」


燐さんだと的確なアドバイスくれるかもしれないけど、身近すぎるから恥ずかしい。

スミレさんは大人のお姉さんすぎて恥ずかしい。


「はあ。ほんと友達いねえんだな、お前」

「そ、そんなことは……!」

「なら友達に相談しろ」


愁さんは、こういう話、しなさそうだし。

やっぱり身近すぎる人にはできないよ。


「……師匠が打ち明けやすいです」


昨日相談したせいかな。

ちゃんと答えをくれたのが、嬉しかった。
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