総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


――俺たちには抱えているものがある。


その大きさはまちまちだが


けっしてどれも小さくはないということが


今日の俺たちを繋いでいるのだろう。


「これはボクの想像でしかないんだけどさ。羅刹の頭は、ボクにメンバーからの不信感を集めて、いざこざでも起きたところを攻めるつもりなんじゃないかな」

「俺もそう考えた」

「ムカつくなー。ボクのこと舐めてる。ボクと幻の絆を舐めてるよねえ」


軽めの口調だが燐がキレているのがわかった。


「舐めさせておけばいい」

「えー。そんなこと言わずに、はやくぶっ潰そうよ羅刹。今から消しに行かない?」

「まあ落ち着け」

「……そうやっていつも幻は戦いを避けるよね。力あるのに」

「力は見せびらかすもんでもねえだろ」

「そう? ボクが幻ほど強かったら知恵や道具に頼らずに好きなように暴れちゃうなぁ」

「ここ数日の愁見て、どう思う」

「あー。あれは愁お兄たんだね。完全にシスコン発揮してるね」

「あいつ、タバコを辞めた」

「……え?」

「愁は余計だと感じるものを切り捨てた。お前は、会ったばかりの他人のために動いた。俺は――愛することを知った。夕烏は、どんどん俺たちのことを変えていきやがるな」

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