イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
しばらくその噴水を眺めてからアディは、一番近くにあった水路にそって歩き始めた。そして何気なくそこにあった飛び石を踏んだ瞬間、はっとして足を引いた。おそるおそるまた足を乗せると、しゃらんと鈴を鳴らしたような音がする。

「まあ」

 水の流れに沿って適度な間隔に配置された飛び石は、ひとつひとつ違う音色を奏でる。浮かれた気分も手伝って面白くなってきたアディは、リズムを取ってはねるように踏んでいった。

ドレスの裾を持ち上げ、軽やかに次の石、次の石へと、アディは夢中になって追っていく。そうしてたどりついた先には、大きな池があった。馬車の中から見た池とは、また違うもののようだ。

 アディのたどっている飛び石は、その池の傍にある木立へと続いている。どうやら、その中に見えるガゼボへと行くためのものらしい。
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