イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
だが、しょせん令嬢とその騎士だ。いずれエレオノーラも目を覚ますだろう、とブライアンは自分の気持ちを心の奥底に封じ込めて、あえて一介の騎士としてエレオノーラと接してきた。いつかエレオノーラも結婚をするという事実からあえて目を背けて、ブライアンはずっとそんな日々が続くものだと思い込んでいたのだ。

 エレオノーラの結婚が決まったことに、これほどに動揺するとは、ブライアン自身も思っていなかった。 

 じい、とブライアンの様子を睨みつけていたエレオノーラは、ふう、と息を吐いた。

「もう疲れたわ、ブライアン。ついにあなたの気持ちがわからなかったことだけが心残りだけれど、今更よね。わたくしを娶る覚悟がないのは、あなたの家ではなくあなた自身だわ」

 痛いところを衝かれたブライアンは、黙り込む。
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