イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる
「ポーレットは、幸せになれるでしょうか……」

 ぽつり、とアディが呟くと、テオがその体を背後からそっと抱きしめた。

「そうだな。せっかく王太子の閨に忍び込んでも夜這いは失敗。王太子妃にもなれずに家に返されるなんて、とてもじゃないが幸せとは言えないだろうな。おかげで本人は人に合わせる顔もなくて別荘にこもりきりだ」

「そうではなくて! 暗殺未遂ですよ!? もっと罪が……え?」

 怒りながら振り向いたアディは、テオがにやりと微笑んだのを見た。

「夜這い……?」
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