エレディンの乙女と青龍の守護者
『娘は私のものだ。こちらへ渡せ。』
「幾度も単身他国へ乗り込むとは、
時間を持て余しているようだ、シュナイン王子。
政務は弟任せでいいのか?」
ウェルロイドが何もない空間に答える。
何かあるのかとカティナが目を凝らして見ても
特に変わったものは見られない。
『ふん。
彼女を置いて優先することがあるなら、
お前が手を引け。』
そこに対峙しているかのように軽口を叩き合う二人は、
幼少期から見知った仲である。
およそ300年ほど、この大陸は一つの大国だった。
そう、エレディン王国。
だが王国は、権力争いにより分裂し、
今では三つの国に分かれていた。