エレディンの乙女と青龍の守護者
濃く甘い香りが渦を巻く。

カティナの栗色の髪も、ぐるぐる巻きのシーツも端からほつれ、ばたばたとはためく。
乙女を腕に抱くシロカの神官服もばさばさと音を立て、同じように風に舞い上がる。


風は二人の前で竜巻のように渦を巻き、
まばゆい光の点が竜巻の前に現れる。
その光の点はシロカにも見えるらしい。

神官が乙女の耳元に唇を寄せる。
「カティナ様、あの光の中に
その方が見えるのですね?でしたら、
その方はー、、」
腕にしっかりと抱えられた乙女の、栗色の瞳が驚いたように大きくなった。

光を纏った男は眉をぴくりと動かした。

「私の乙女に」

はっきりと声がした。

今度は頭にではなく耳に届く声として。


「触れるな。」




バチバチバチバチっ!という音がして
シロカは弾かれたように地面に叩きつけられる。
「ぅ、、っぐはぁ、、ぁ!!」
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