エレディンの乙女と青龍の守護者
「カティナ様、私たちには見えません。
ですが、カティナ様が見えるとおっしゃるその方は、
恐らく、、」
「神官様には見えなー、、あっ!」

武神官たちの姿が後ろに飛び去るように消えていく。
「口は閉じていてくださいね、
舌を噛んでしまいますよ!」
シロカの跳躍力は人並み外れていた。
カティナを抱き上げる腕もとても頑丈だ。
優しい微笑みからは想像できなかったが、
シロカも武神官なのだろうとこの時わかった。
『人は見かけではないと言っていたのは私なのに、、』




武神官たちの声と、うなるような風の音が聞こえる。
背後を気にしつつ、シロカは目前の青の神殿との距離を測る。
『あと少し、あと少し!!
カティナ様を無事にお連れしなければ!』


「シロカ!」
カティナが悲鳴に近い声を上げた。
今度はゴォっと捲き上げるような風が起こり
今にも二人を飲み込もうと迫る。
カティナの白い花も緑の茎も葉も舞いがる。

『そこはきみに相応しくない。』
カティナの頭に呼びかけるような声がした。



「きゃぁっ、、!!」
一層強く風がふき、カティナの身体は舞い上がりそうになる。
「カティナ様!」
シロカはカティナを抱く腕に力を込めた。
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