溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
穂積課長とはうちに来てくれた日以来、プライベートでは一度しか会えていない。
私は会いたいと思っているけれど、課長がずっと忙しいからだ。


松井田病院の新薬の契約のことで部署内が盛り上がったことはまだ記憶に新しいけれど、二週間ほど前にもう一件、穂積課長が新たな契約を取りつけてきた。
立て続けに新規の顧客を増やした課長に、同僚はもちろん、部長もとても驚いていた。


穂積課長いわく、一年以上前からコンタクトを取っていたのだとか。
ただ、それでもどちらもなかなか契約を取れないことで有名な病院であるのはこの業界では周知の事実だから、営業部では数日間はその話題で持ち切りだった。


二件の新たな取引先ができたことによって、担当している課長が忙しくなるのは当然のこと。
同じ部署で働いている以上、それくらいのことはわかっている。


だから、『会いたい』という言葉を口にしないようにしていたところ、先週末に穂積課長からメッセージが届いた。
メッセージをもらえたことに喜んだ私が目にしたのは、【年末年始は一緒に過ごさないか?】という内容だった。

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