溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜
ゴールデンウィーク真っ只中の今日は、街にはたくさんの人が行き交っていた。
大きな窓から光を取り込む明るい店内では、恋人同士や家族連れのお客さんたちが連休中盤のランチを楽しんでいる。


程なくして、運ばれてきたグラスを持つように智明さんに促され、震えそうな手を伸ばす。
お母様の仕切りでひとまず乾杯すると、彼がシャンパンに口をつけたあとで話を切り出した。


「改めまして、彼女は青山莉緒さんです。将来を見据えたお付き合いをしており、今は一緒に住んでいます」

「よろしくお願いします……!」

「ふふっ。莉緒さんのことは、智明から少し聞いているわ。お会いできるのを楽しみにしていたのよ。だって、恋人を紹介してくれるのは初めてなんですもの」


智明さんのお母様は、二重の大きな目をふんわりと緩め、楽しそうにしていたけれど……。これまで具体的に結婚の話をしたことがなかったから、私は挨拶をしながらも智明さんの言葉に驚き、思わず彼を見てしまった。

< 355 / 380 >

この作品をシェア

pagetop