あなたが居なくなった日。

「うん。昨日、帰ってから本棚をひっくり返してみたの。

そしたらなんか色々思い出したんだよね。

で、気づいたら曲が決まってた」

「何にしたの?」

「シューマンの楽しき農夫」

「おおー!いいねぇ。なんか三咲のイメージではないけど。

うん。私も好き」

「うん。私が一番初めに練習した曲なんだ」

「最初?だとしたら難易度高くなかった?」

友は本棚を漁っていた手を止めて振り返る。
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