あなたが居なくなった日。

もちろん難しくて泣きそうになった事は何回もあった。

だけどそれ以上に新しい音を覚えて、それを一つの音楽にしていくのが楽しくて仕方なかった。

いまこそ苦労や苦難の方が多くなってはしまったけど、それでも私がピアノを弾き続けている根本はその楽しさだということに変わりはない。

「あれ?いつのまに決めたの?」

放課後。

全ての授業を終えて楓と私は音楽科専用の図書館にいる。

ここには壁一面に音楽関係の書物や譜面等が保管されている。

演奏会を控えた私たちはその準備のために放課後のこの場所へ来ていた。
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