あなたが居なくなった日。

「うーん。上手いのは上手いけど……。

私にはそんなにハマらないかなぁ」

「ええー!?楓ってばちゃんと聴いてる?めっちゃ綺麗だよ!」

「ちゃんと聴いてる。ってか聴いてないわけないでしょ?

それで困るのは私だもん」

ぐうの音も出ないとはまさにこの事だ。

私たちが通っている高校は特殊で音楽科が設けられている。

高校から音楽科を設置するだけあってその教育方針は結構厳しく、お昼休みには放送で音楽科生徒の演奏や歌を流している。

放送を任される順番はランダムで、演奏組は唱歌組について、唱歌組は演奏組について評価を付け合うのが学びの一環だ。

普通科の生徒はただ自由にそれをBGMとしてお昼の時間を楽しむ。

(一応、各クラスに設置されている投票箱に評価を投票できるようにはなっているらしいが)
< 3 / 425 >

この作品をシェア

pagetop