あなたが居なくなった日。
蒼々たる文面の最後には去年のコンテストのものだろうか。
大きなトロフィーを抱えた少年の写真が貼られている。
「ずる」
思わず声が漏れた。
深海くんの才能は生まれ持ってのものだ。
ピアノを始めた時期は私とそう変わらないのにすでにその音色を国内に響かせている。
まあ、それはいい。
実際、あの音色を聴けるのならば私のなけなしの才能だって渡せてしまう。
が、彼が神から授けられたのはそれだけじゃなかった。