あなたが居なくなった日。
そっか。
持っている人って本当に全てを持っているんだな。
私にはよく見積もっても普通より少しマシな程度の顔と、ほんの少しだけ同級生より上手いだけのピアノの技術しかないって言うのに。
「神様は不公平だなぁ」
とは思うけどそこに嫉妬心は皆無だ。
だってこれほどまでに完璧なんだ。
その容姿もピアノの技術も。
ここまで完璧に揃えられたら羨ましいだなんて気持ちはかけらも芽生えない。
むしろその不公平のお陰で彼は彼なのだから有難いとさえ感じてしまう。