旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~

 ふたりとは中心街に近い駅で待ち合わせることになった。

 駅構内から地上へ出ると、すぐ目の前には主要幹線道路があり、ひっきりなしに車が行き交っている。

 久しぶりに街中にきたなぁ。

 よく待ち合わせに利用されるモニュメントがあり、そこで先に待っていたふたりが私を見つけて手を軽く挙げた。

「香澄ちゃん! こっちこっち!」

 最初から彼女たちと遊ぶことはやめておこうと思っていたので、どこかに向かって歩き出そうとする後ろ姿を呼び止めた。

「あのっ、ごめん。実は急に仕事が入っちゃったの」

 ゆみかは顔を顰める。

「えー?」

 祥子はとても残念そうにする。

「そっかぁ。仕事なら仕方ないねぇ」

「本当にごめん」

 ゆみかは、「じゃあ宝来さんのことだけでも」と、私が切り出す前に喋り始めた。

「繋がりがあるなら、香澄ちゃんが紹介してくれるのが一番手っ取り早いんだけど」

 勇気がしぼんでしまわぬようブレスレットを握る。
< 132 / 180 >

この作品をシェア

pagetop