旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「……あのね。宝来部長は上司だし、宝来陶苑の跡取りでもあるし、軽々しく紹介なんてできないよ」

「だったらどうしてここまで来たの? そんなの電話で話せることじゃん」

 ……やっぱり。成暁さんのことがなければ、私とは会う価値もないってことなのね。

 あからさまに冷たくなった態度に、胸がぎしぎしと軋んだ音を立てる。

「ゆみかちゃん。もうちょっと言い方ってものがあるでしょう」

 祥子が注意してくれても、ゆみかの怒りは増すばかりだ。

「気を悪くさせるつもりはなかったの。私はただ、ちゃんと顔を合わせて話したいなと思っただけで」

 ゆみか大きな溜め息を吐く。

「まるで私が非常識みたいな言い方だね。私のことバカにしてる?」

 ゆみかは元々声が大きい方で、感情的になった今かなりのボリュームだ。

 周りを見回すと何人かと目が合った。彼等は一様に目を逸らす。
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