旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
店内から姿を現したのは、長谷川さんに支えられてなんとか立っている様子の早乙女さん。
「成暁さーん。送ってくださーい」
元々愛嬌のある早乙女さんの声がふわふわと揺れている。
「だからぁ。俺が送っていくって言ってるだろ?」
呆れた顔で言う長谷川さんをキッと睨み、「嫌です!」とキツイ物言いをする。
うわぁ。早乙女さん相当酔ってる。
「な、り、あ、き、さーん」
猫なで声を転がす早乙女さんに、さすがに嫌悪感を抱いた。
行かないでほしい。身勝手な感情だけど、彼女より私を優先してほしい。
けれど、成暁さんは私から離れると早乙女さんの腕を掴んだ。
「ちゃんと立て」
一見ぶっきらぼうな物言いだけど、早乙女さんへの眼差しは優しい。
「立ってますよ!」
早乙女さんは口を尖らせて抗議する。それは一社員が経営企画部長に接する態度ではない。
やっぱりふたりは特別な関係みたいだ。
仲のいいふたりのやり取りを見ていたくない。店内へ戻ろうとしたところで、タクシーが私たちの前で止まった。
「先にタクシー呼んでおいたんだよ」
そう言って、長谷川さんが早乙女さんのものと思われるバッグを、タクシーの座席に置く。