旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
長谷川さんは振り返って、私の顔を強い眼差しで見つめた。
これまで一度も見せたことない真剣な表情に、心臓がビクッと震える。
「吉岡ちゃんは俺が送っていくから」
「で、でも」
「だから、さっさと行けよ」
顔を成暁さんに戻し、苛ついたように言い放つ。
「香澄、家に着いたら連絡して」
それだけ言い残して、成暁さんはタクシーに乗って行ってしまった。
連絡するとか、連絡してとか。そういう言葉ばかりで、最近一緒に過ごせていない。
本当は早乙女さんに心変わりしたんじゃないのかな。
成暁さんは、心を許した相手には口調ががさつになる。早乙女さんだって、成暁さんのことを名前で呼んでいるし。
私が不憫で、本当の気持ちを言えずにいるだけなんじゃないの?
「吉岡ちゃん。きっと事情があるんだよ」
いたわるようにぽんっと背中を叩かれた。その瞬間、目の奥から熱いものが込み上げてくる。
やだ。なにこれ。
きつく唇を結んで、こぼれ落ちそうになる涙を必死で抑え込む。